フォナック(PHONAK)のロジャー(Roger)のFMシステム(FM補聴器)をご存知でしょうか?
耳の聞こえが悪くなると当然会話をする事に支障が出てきます。
今仕事をされている、学校に通われている難聴の方はあらゆる面で困難な事があります。
会議や電話、広い会場での講義など補聴器や人工内耳の補助だけでは困難な場合に試してもらいたいある物があります。
それはスイスの補聴器メーカー、フォナック(PHONAK)のロジャー(Roger)と呼ばれるFMシステム(FM補聴器)です。
今回は従来のFMシステムとの違いなどこのロジャーの機能などについて紹介します。
難聴により起こる症状
まず難聴には種類があります。難聴は耳の部位に起こる障害により聞こえの症状は異なります。
伝音性難聴
外耳や中耳の障害による難聴
感音性難聴
内耳、聴神経や脳の障害、高齢化による難聴
混合性難聴
伝音性難聴と感音性難聴の両方の原因を持つ難聴
難聴の種類についてはコチラ
難聴の種類によって聞こえにくい言葉など異なります。難聴により耳鳴りを伴ったりする事もあります。
難聴になると補聴器や人工内耳などで補助をし聞こえを改善します。ただし、補聴器や人工内耳でも聞き取りが難しい環境があります。
補聴器や人工内耳で聞き取りが難しい環境とは?
補聴器だけ、人工内耳だけでは聞き取りが難しい環境は沢山あります。
どういう環境だと聞き取りが難しくなるのだろうか?
- 話し相手と聞き手の距離が離れている時
- 周りが騒がしい時
- 音の反響が起きるところ
こういった環境では音声を聞き取るのが難しくなります。
居酒屋やレストランで会話をする時になかなか相手の言っていることがわからないということありませんか?
駅のホームで電車を待っている時、電車が通り過ぎる時に会話が聞き取れないなど。
普段生活している環境で聞き取りが難しい環境は沢山あります。
学校では色々な勉強をします。学校って静かな環境でしょうか?話し手と聞き手の距離はどうでしょうか?
教室の中はうるさい事もありますし、先生と生徒は数メートル離れて授業をします。それでは補聴器をしても聞き取りが難しい環境になってしまいます。仕事をされている方は会議などが当てはまります。
この様に補聴器や人工内耳では聞こえを補うのが難しい場面があるのです。
難聴の方が仕事や学校の環境で感じる事
難聴になると人とのコミュニケーションの取り方が難しくなります。
仕事や学校での悩み
- 聞こえない事からストレスを感じやすくなる
- 人を避けてしまい孤立してしまう
- 口話や筆談で誤解が生じたり意図が通じなかったりすることがある
- 会話がうまくできずに人間関係が上手くいかず離職、退学してしまう
- 難聴に理解のない周りからの嫌がらせ等の理由で転職、転校を繰り返す事もありうる
仕事や学校での悩みは会話コミュニーケーションの問題が多いです。
同僚や上司との会話は殆ど口話が多く専門的な会話とか連絡とか打ち合わせとか大切な話は筆談も併用する。学校もやはり人間関係で会話コミュニケーションがうまく取れないなどの悩みが多いです。授業でうまく聞き取れない事なども悩みになりストレスになります。
一般の学校以外に難聴の方に向けた学校があります
難聴者を対象にした学校があります。一般の学校では上手く授業が受けられないなど重度の難聴の方が通う学校があります。
聾学校をはじめ、聴覚障害者向けのサポートのある大学なども増えてきています。
今の時代、一般の学校も障害のある学生に対して合理的配慮をするように求められています。
公立の学校なら法的義務、私立学校なら努力義務とされてます。受験の際の配慮(座席を前の方にしてもらったり英語のリスニングテストの免除、あるいは代替の方法で行うなど)テスト関連の指示は口頭だけでなく書面のものをもらうという事もあります。
どういった配慮があるのか?
- 座席の配慮やFMマイクの使用など、できるだけ板書を多くしてもらう。
- 伝達事項は書面でもらう。
- 集会などでは要約筆記者を派遣する(学校側から公的機関などに依頼する)
- 英語のリスニング授業での配慮をする(先生用のテキストを印刷してもらう、あるいはリスニング授業は免除されて別の読解などの授業に振り替える)など。
新しいFMシステム、フォナック(PHONAK)のロジャー(Roger)をご存知でしょうか?
スイスの補聴器メーカーフォナック(PHONAK)のロジャー(Roger)とはデジタルワイヤレスによる次世代補聴援助システムです。
FMシステムとロジャーの違い
従来のFMシステムとロジャーはどのように違うのか?従来のFMシステムは送信機と受信機を同じチャンネルに設定する必要がありました。ロジャーの場合はチャンネルの設定は不要です。ボタンひとつでワイヤレスマイクと受信機とスピーカーが同じネットワークにつながります。FMシステムは受信機の場所が近いと干渉しやすいです。一方ロジャーの場合それらが近くにあっても干渉しません。デジタルワイヤレスで簡単に使えます。デジタル無線方式の為ロジャーでは音声がさらにクリアになります。補聴器援助システム、ロジャーはマイクロホン付きの送信機から話し手の声を補聴器や人工内耳に取り付けた受信機へ送り聞き取りを改善するシステムです。補聴器が周囲の騒音を拾ってしまったりする騒がしい場所や反響の多い場所、話し手との距離が離れている場所で役立ちます。教室をはじめ騒がしい場所でその差をはっきりと実感する事ができます。
難聴の方が通う聾学校などではFMシステムやロジャーが設備されています。
言葉の明瞭度が54%あがりました!
聞き取りの性能は臨床の結果からも明らかになっています。言葉の聞き取りの結果、語音明瞭度をみると
2世代前のマルチチャンネルFMと比較して最大54%向上しています。ダイナミックFMと比較しても最大35%向上している事がわかりました。
ワイヤレスマイク、受信機とスピーカーがボタン一つでつながります
学校の先生が持つワイヤレスマイクのボタンをワンクリックするだけで大丈夫です。
近くの生徒の受信機スピーカーすべてとつながるようになります。
音声が混信せずチャンネルの管理が不要
FMシステムは学校側が教室ごとにあらかじめチャンネルの振り分けを行わないといけない必要がありました。
しかし、ロジャーならそんなチャンネル管理の手間が不要なんです。また異なるワイヤレスマイクからの音声の混信がないんです。
同じ教室内でグループ分けしても授業が進められるなど授業の自由度や利用シーンも大きく広がります。ロジャーのワイヤレスマイクロホン(Rogerインスパイロ、Rogerダイナマイク)はロジャー受信機にもFM受信機にもそれぞれの電波を送れるハイブリッドタイプのマイクロホンです。
聞き手側にロジャーとFMシステムが混在しても問題がおきません。
ロジャーの機能を使用できるペン型の送信機
フォナックの通信機器はとても優れています。
今このロジャーは世界で幅広く活用されています。
数あるロジャー製品の中で今回はペン型の機器、ロジャーペンについて紹介します。
フォナック ロジャーペン109,000円(税抜)
- 無指向性、指向性、環境適応型指向性自動切り替えマイクロホン内臓。
- ACアダプター、充電スタンド、ネックストラップ、ケース付属。
- 2時間充電で約7時間使用できます。(Bluetooth利用時は約5時間の使用)
- 使用可能距離は(室内)最大約15m(屋外)最大約10mまで可能。
- カラーはブルー、レッド、シルバーの三色。
学校や外出先でもスマートに利用ができるスリム&スタイリッシュなペン型マイクに便利な機能がたっぷりと
詰め込まれています。1本のロジャー ペンで聞こえの楽しさがどんどん広がります。
毎日の何気ないシーンが新鮮に感じられます。聞きたい音をよりクリアに補聴器で聞く事ができます。
ロジャーペンは一台で三役!
- 騒がしい場所、離れた場所にいる人の声をワイヤレス通信で補聴器に届ける
- 携帯電話で相手の声がハンズフリーで聞こえる
- テレビや音楽プレイヤーの音声をワイヤレス通信で聞く事ができる
ロジャーペンの使用には受信機が必要になります
おすすめする受信機がこちら!
Tコイル利用タイプの受信機 ロジャーマイリンク、マイリンクショートループ各65,000円(税抜)
首にかけて使用するネックループ型受信機です。Tコイルが内蔵された補聴器、人工内耳に使用する事ができます。
- 耳あな型を含むオーディオインプット端子のない補聴器にも使用する事ができます。
- ループ長: Roger マイリンク 76cm / Roger マイリンク ショートループ 56cm
- ACアダプター付属。
- 2時間充電で約10時間使用する事ができます。
シーンに合わせた幅広い使い方が可能です!
卓上スタイル ペンを机などに置いて使用。仕事の会議、打ち合わせ、学校でのグループ授業などで便利です。
首かけスタイル 話し相手の首にかけてもらい使用する。1人の人と話す時などによりよく話しが聞きやすくなる。
インタビュースタイル 話し相手の方に向けて使用する。騒がしい場所などで少人数で会話する時に便利です。
ロジャーペンはフォナックの補聴器ですとTコイル内臓の補聴器すべてに対応しています!
フォナックの補聴器以外でロジャーペンを使用できるのだろうか?
フォナックの製品なのでフォナックの補聴器にしか使用できないのでは?と思った方!
実はこのロジャーペン、フォナック以外のメーカーの補聴器でも使用する事が可能なのです!
ただしロジャーペンに対応する条件があります。どの補聴器でも使える訳ではないので注意です。
フォナック以外の補聴器で使用する方法
まず、耳かけ形補聴器を使用の場合です。
耳かけ形の場合、フォナックから出ている受信機ロジャーエックス92,000円(税抜)をオーディオシューに接続すると使用できるようになります。この受信機を購入必要がありますがこれだけで他メーカーの補聴器でも使用できます。
もう一つの方法ですが、お使いの補聴器にTコイルが内臓されている場合です。
Tコイルが内臓されている補聴器の場合ロジャーマイリンク65,000円(税抜)を使用すれば使えるようになります。
こちらはオーディオシューに接続する受信機ロジャーエックスです。
補聴器を使用していない方が使用する場合
補聴器の使用をしていない方でロジャーペンを使用したい場合はレシーバーが内臓された受信機ロジャーフォーカス76,000円(税抜)を使用すれば使えます。見た目は補聴器みたいですね!
ロジャーの福祉、申請について
海外では教育目的のFMシステムは無償で支給されています。
日本には障害者総合支援法という法律があります。ロジャーは基準外申請により特例として支給される事があります。
この事は実はまだあまり知られていません。基準内申請ではFMシステムの支給になります。
厚生労働省の見解として、ロジャーが補装具として認められるためには全国の自治体(市町村)で特例補装具として認められるという実績が必要との事です。実績として2015年4月16日時点で47都道府県の内43都道府県の91%政令指定都市20都市の内17都市85%となっています。
ですのでFMシステムは支給されるがロジャーとして支給されるのは難しいのです。大阪補聴器リスニングラボではロジャーに関する理解を求める活動もおこなっています。会社員の方、学生の方にロジャーの申請をできる限りサポートしています!
まとめ
社会人の方、学生の方で耳の聞こえが悪く悩まれている方は沢山いらっしゃいます。補聴器をしているのを知られたくなかったり、聞こえが悪いのを内緒にされている方もいるでしょう。しかし、仕事での大事な会議、電話など聞き取りを間違えたり内緒にする事で色々と1人で抱え込んでしまいます。職場や学校では難聴である事を知ってもらうのも重要です。周りの人に理解してもらう事でコミュニケーションも改善されます。ただ難聴を打ち明ける事は人によりとても勇気がいる事ですよね。しかし、相手が知らない事で誤解が生まれる事もおきます。仕事で相手にもわかってもらえた方が業務もやりやすくなるのではないでしょうか?学校でも先生に聞こえが悪い事を伝え配慮してもらうと授業も受けやすくなると思います。今回紹介したロジャーペン、その他ロジャー関連の製品は大阪補聴器リスニングラボで取り扱っています。障害支援法によるロジャー申請のご相談もお受けしていますよ。試聴する事も可能ですのでお気軽にお問い合わせ下さい。