聞こえのしくみ
上図のように、人間の耳には外耳、中耳、内耳の3つの部分から成り立っています。
外耳から入った音は鼓膜に達し、ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨によって内耳に伝えられます。
音の信号は内耳の有毛細胞によって電気信号に変換され、脳に送られ脳で判断されます。
このように、耳の各器官がそれぞれの役割を果たすことがことで音を聞き取ることが出来ます。
耳から脳までのどの部位に原因があるかで、難聴の種類や程度が違ってきます。
難聴の種類
難聴は加齢とともに40歳代から徐々におこります。一般的に多いのは高音部の聞こえが低下しておこる感音性難聴です。高音の子音が聞き取りにくくなることで言葉の聴き間違いが多くなるのが特徴です。この難聴の皆さんがよく言われるのが、音は聞こえるけど言葉の意味が理解できないとか、「加藤さん」と「佐藤さん」、「ポスト」と「ポット」、「魚」と「高菜」とを聞き間違える方は注意が必要です。聴力が低下した状態で長い間放置しておくと、脳への刺激が減り、ことばを聞き分ける能力が低下したりします。早い時期の補聴器装用が重要で、なるべく早く補聴器を装用するほうが補聴器に慣れるのも早く、補聴器を使いこなすことができます。
難聴は大きく三つのタイプに分けられます。
【感音性難聴】…「音を感じるところ」の障害
聞こえ方
- カン高い音が聞き取りにくい
- 小さい声や音もよく聞こえない
- 自動車の警笛や、物を落とした音などに痛みを感じる
耳鳴りがしたり、体調によって聞こえ方が違ったりする
年齢が進むにつれ、または、大きな音をききすぎたりすると、内耳の有毛細胞の機能が低下します。内耳、聴神経、脳の中枢など、音を感じるところ(感音系)の何らかの障害によって起こります。小さい音がききとりにくいだけでなく、大きい音が響いたり、ひずんだりする場合があり、きこえても言葉の意味がわからないといった症状があらわれます。
加齢による老人性難聴の他に、生まれもって聞こえにくい(先天性)、薬(ストマイ)の副作用やメニエール病、突発性難聴など、内耳からの音の振動を電気信号に変換する内耳、その信号を脳の中枢に伝える聴神経あるいは、脳に生じた障害のために起こる難聴です。
一般的に手術では改善できませんが、補聴器を正しくフィッティング(調整)して使用すればかなりの効果が期待できます。
内耳、聴神経、脳は届いた音を分析し、脳と共同で「聞きたい音」や「聞きたくない音」など意志を含めた処理を行います。これらの機能による難聴は、音を増幅して伝えるだけではうまく聞こえませんので、補聴器も音質や音の出し方を細かく調整しなくてはなりません。
【伝音性難聴】…「音を伝えるところ」の障害
聞こえ方
- 低い声や音が聞き取りにくい
- 声(音)が大きくなれば聞こえる
- 耳をふさいだように、こもった音で聞こえる
中耳炎等で鼓膜に穴があいたり、耳小骨(鼓膜と内耳をつなぐ小さな骨)の動きが悪くなるなど、音を内耳に伝える外耳及び中耳の部分に障害が生じるために起こる難聴です。
中耳炎、鼓膜の障害、耳垢づまりなどが原因で、医学的な治療により改善できることもあります。
音が伝わりにくくなっただけなので、音量を大きくすれば聞き取りやすくなり、補聴器の使用は効果的です。
【混合性難聴】…「音を伝えるところと感じるところ」の障害
伝音性難聴、感音性難聴の両方の症状が現れます。中耳炎が悪化して内耳が冒された場合をはじめ、いくつかのケースがあります。
加齢による難聴
人はだれでも加齢とともに聴力が衰え高い音から徐々に聞こえにくくなり、周囲に雑音があるとさらにことばの聞き取りに支障を生じます。
加齢により難聴の方の中には補聴器を装用したがらない方がいます。
主な理由は
- 難聴を自覚していないことが多い
- 会話の機会が少なく、不自由を感じることが少ない
- 補聴器は老いたイメージが強くて装用したくない
などです。
聞こえに不自由を感じ始めたら、早い時期の補聴器装用をおすすめします!
ご本人が補聴器を装用したがらないので、周囲の人は大声を出さなくてはならず、困っているという場面を見ることがあります。
難聴のまま長い間過ごすと、脳への刺激が減り、ことばを聞き分ける能力が低下したりします。なるべく早く補聴器を装用するほうが補聴器に慣れるのも早く、補聴器を使いこなすことができます。
補聴器を使いこなそうとする意欲が一番たいせつです!
ご本人が補聴器を装用したがらないのに、必要以上の強要は逆に拒否感を増すだけです。ご本人が聞こえの不便さを自覚し、補聴器を使いこなそうとする意欲が一番必要なのです。