みなさん、こんにちは!大阪の認定補聴器専門店リスニングラボのスガイです。今日は、フォナックのロジャー最新モデル「ロジャーオン3」と従来の補聴器の違いについて、くわしくお話しします。聞こえに悩んでいる方や、もっと快適な聞こえを求めている方に、ぜひ参考にしていただきたい内容です。

はじめに:補聴器だけでは足りない場合も
まず、みなさんに知っておいてほしいのは、補聴器だけではカバーしきれない聞こえの状況があるということです。たとえば、さわがしいレストランでの会話や、広い会議室での講演、教室での授業など。このような環境では、補聴器を使っても「聞こえにくい」と感じることがあります。
じつは、補聴器ユーザーの約3割が、こういった場面で聞こえに限界を感じているんです。これは決してめずらしいことではありません。しかし、だからといってあきらめる必要もありません。そこで登場するのが、今回ご紹介するフォナックのロジャーオン3です。
ロジャーオン3とは?ロジャーと補聴器の違い

ロジャーオン3は、補聴器の機能を補完する「デジタルワイヤレス補聴援助システム」です。簡単に言えば、補聴器の能力をさらに引き上げてくれる、頼もしい相棒のようなものです。ロジャーは補聴器と違い離れた距離の言葉を聞いたり、複数人での会話に特化しています。
通常の補聴器は、装用者の周囲約1.5メートル以内の音をひろいます。しかし、ロジャーオン3は最大で約25メートル離れた場所の音までひろうことができるんです。ただ音を拾うだけじゃなく、話し手の声を優先的にとらえ、クリアな音声で補聴器に届けてくれます。
ロジャーオン3の魅力的な新機能
ロジャーオン3には、これまでのロジャーシリーズにはなかった新機能がいくつか搭載されています。その中でもとくに注目したいのが、次の3つです。
ワイドインタビューモード
これは、従来のインタビューモードよりも広い範囲の音を3次元的に集音できる機能です。たとえば、複数の人が立って話し合っているシーンや、講演をきいているときなどに効果的となります。テーブルの上に置いたり、手に持って相手に向けるだけで、前方にいる人の会話をしっかりひろってくれるんです。
スマートミュート
この機能は、ロジャーオン3本体をミュートにすることで、ワイヤレス接続している補聴器が自動的に通常の補聴器機能に切り替わるというものです。これにより、ロジャーオン3を使用していないときでも、スムーズに補聴器の機能に戻れるわけです。便利ですね。
傷に強いディスプレイ
ロジャーオン3のディスプレイには、新しいコーティング加工がされています。これにより、持ち運び時の傷から守られるので、長く美しい状態で使い続けられます。
ロジャーオン3が聞こえを向上させる仕組み
ロジャーオン3を使うことでどのように聞こえを向上させるのか、もう少しくわしく見ていきましょう。
マルチビームテクノロジー2.0
ロジャーオン3には、「マルチビームテクノロジー2.0」という最新の技術が搭載されています。この機能では話し手の方向を装用者に提供、空間の情報を再現してくれます。レストランをはじめ、さわがしい環境下で複数人の会話をしても話し相手の声方向が認識しやすくなり、言葉の認識を高めてくれるはたらきがあるんです。
4つのマイクロホン
ロジャーオン3には、4つのマイクロホンが搭載されています。これらのマイクは、三角形と直線の2つの配列を兼ねた設計になっています。使用するモードによって、最適なマイクの組み合わせが選択されるんです。
自動モード切替
ロジャーオン3には加速度センサーが搭載されており、デバイスの角度によって自動的にマイクロホンモードが切り替わります。たとえば、水平に置かれると卓上モード、60度傾けるとインタビューモード、90度から45度に傾けるとプレゼンターモードに切り替わるので、使用者は状況に応じて手動でモードを切り替える手間がはぶけるんです。
ロジャーオン3と補聴器の組み合わせによる効果について

ロジャーオン3と補聴器を組み合わせて使用すると、驚くほど聞こえが改善されます。研究によると、補聴器単独での使用と比較した場合、ことばの理解度が最大61%も向上するんです。これは本当にすごい数字だと思いませんか?
とくに効果を発揮するのは、次のような場面です。
- 騒がしいレストランでの会話
- 広い会議室での講演
- 教室での授業
- スポーツ観戦
- 車内での会話
これらの場面では、周囲の騒音や話者との距離が原因で、補聴器だけでは十分な聞き取りが難しいことがあります。でも、ロジャーオン3を使えば、クリアな音声が直接補聴器に届けられるので、ストレスなく会話を楽しめるんです。
ロジャーオン3の使い方
ロジャーオン3の使い方は、とってもシンプルです。基本的な使用方法は次の通りです。
- ロジャーオン3の電源を入れる
- 補聴器とペアリングする(初回のみ)
- 話者の近くにロジャーオン3を置く、または話者に装着してもらう
- 自動的に最適なモードが選択される
使用する状況に応じて、次の3つのモードを使い分けることができます。
卓上モード
テーブルの上に置いて使用するモードです。会議や食事の際に便利です。マルチビームテクノロジーにより、360度全方向の音を拾いつつ、最も明瞭な音声を選択して補聴器に送ります。
インタビューモード
手に持って使用するモードです。1対1の会話や、特定の話者の声を聞きたいときに適しています。ロジャーオン3を話者に向けるだけで、その方向の音声を優先的に拾います。
プレゼンターモード
話者に装着してもらうモードです。講演や授業などで使用します。話者の声を直接拾うので、距離が離れていても明瞭な音声を聞くことができます。
ロジャーオン3のカスタマイズ
ロジャーオン3は、ユーザーのニーズに合わせてカスタマイズすることができます。専用のスマートフォンアプリ「マイロジャーマイク」を使用すれば、次のような設定が可能です。
- マイクロホンの方向性の調整
- 音量の微調整
- ビームの向きの手動調整
これらの設定により、それぞれの使用環境や好みにあわせて、最適な聞こえを実現することができます。
ロジャーオン3の対象者
ロジャーオン3は、幅広い年齢層の方に適しています。特に次のような方におすすめです。
学生
教育現場での使用に特に効果的です。研究によると、子どもが補聴器とロジャーを併用すると、補聴器単独使用とくらべて、ことばの聞き取りが34%向上するそうです。さらに、1日あたり5,300語の学習が可能になり、発話量も12%増加するという結果も出ています。
社会人
会議や商談、セミナーなどのビジネスシーンで活躍します。聞き取りの改善により、コミュニケーションの質が向上し、仕事の効率アップにつながります。
ロジャーオン3と合理的配慮
2024年4月から、改正障害者差別解消法が施行され、企業による合理的配慮の提供が義務化されました。この法律は、障害のある方が社会生活を送る上での障壁を取り除くことを目的としています。
聴覚障害のある方にとって、ロジャーオン3は非常に有効な合理的配慮のツールとなります。
- 会議での情報保障
- 講演会や研修での音声サポート
- 職場でのコミュニケーション支援
多くの企業や教育機関で、すでにロジャーシステムが導入されています。聴覚障害のある方の社会参加を促進し、誰もが平等に情報にアクセスできる環境づくりに貢献しているんです。
ロジャーオン3の互換性
ロジャーオン3の大きな特徴の一つが、高い互換性です。フォナック製の補聴器だけでなく、他社製の補聴器や人工内耳とも組み合わせて使用することができます。
具体的には、次のような機器と互換性があります。
- Tコイル内蔵の補聴器、人工内耳各種
- ロジャー受信機各種
- ロジャーフォーカスⅡ
- ロジャーネックループ
- ロジャーマイリンク
- ロジャークリップオンマイク
この高い互換性により、すでに補聴器をお使いの方も、簡単にロジャーシステムを導入することができます。
ロジャーオン3の技術仕様

ここで、ロジャーオン3の主な技術仕様をまとめておきます。
- 寸法:幅24mm × 長さ100mm × 高さ14mm
- 重さ:27g
- カラー:シャンパン、グラファイトグレー
- 使用可能距離:約25m(ロジャーダイレクト対応補聴器の場合、アプリ操作で最大50mまで拡張可能)
- 使用可能時間:3時間充電で約8時間
- 防塵防水:IP54
- 保証期間:2年
ロジャーオン3の価格と補助金
ロジャーオン3の価格は209,000円(税込)です。高額に感じるかもしれませんが、聞こえの改善による生活の質の向上を考えると、十分な価値があると言えるでしょう。
また、ロジャーオン3は特例にはなるのでハードルは高いですが、基準をみたせば補装具の対象になります。くわしくは、お住まいの地域の福祉課や、補聴器専門店にお問い合わせください。
まとめ:ロジャーオン3で広がる聞こえの世界
フォナックのロジャーオン3と補聴器の違い、そしてロジャーオン3がいかに聞こえを向上させるかについて、詳しくお話ししてきました。
ロジャーオン3は、単なる補聴器の付属品ではありません。それは、補聴器の能力を大きく引き上げ、これまで難しかった聞こえの状況を改善する、画期的なテクノロジーなんです。ロジャーオン3を使うことで日々の生活がより充実するかもしれません。