こんにちは!補聴器専門店リスニングラボのスガイです。今回は、多くのお客様から質問をいただく「クロス補聴器のデメリット」について、詳しくお話しさせていただきます。
クロス補聴器は片耳難聴の方に人気の補聴器ですが、メリットだけでなくデメリットもあるんです。この記事では、クロス補聴器のデメリットを中心に、その特徴や注意点をわかりやすく解説していきます。
クロス補聴器の使用を検討されている方や、すでに使用中で気になる点がある方に、ぜひ参考にしていただければと思います。それでは、クロス補聴器のデメリットについて、一緒に詳しく見ていきましょう!
クロス補聴器とは?基本的な特徴をおさえよう
まずは、クロス補聴器の基本的な特徴について簡単に説明させていただきます。クロス補聴器のデメリットを理解するには、その仕組みを知ることが大切です。
クロス補聴器の仕組み
クロス補聴器(CROS補聴器)は、聞こえにくい耳側で拾った音を、きこえる耳側に送る仕組みなんです。
具体的には、このような流れになります。
- 聞こえにくい耳側に装着したマイク付きの送信機(クロス補聴器)が音を拾う。
- そのクロス補聴器が音を無線で反対側の耳(補聴器)に送信。
- 聞こえる耳側の補聴器が音を受けとり、増幅して聞こえる耳に伝えます。
この仕組みによって、聞こえにくい側からの音も聞こえるようになるんです。でも、この特殊な仕組みゆえに、いくつかのデメリットも生じてしまうんですね。
クロス補聴器の主な特徴
クロス補聴器には、以下のような特徴があります。
- 片耳難聴専用: 片耳がほぼ聞こえず、もう片方の耳が正常もしくは軽度~中高度難聴の方向けです。
- 両耳に装用: 両耳に装着しますが、実際に音を聞くのは聞こえる方の耳だけです。
- きこえの改善: 聞こえにくい側からの音も聞こえるようになるので、聞きとりが向上します。
- デジタル技術の活用: 最新のデジタル技術を使用して、音質や快適性の向上をはかっています。
これらの特徴をふまえた上で、クロス補聴器のデメリットについてくわしくみていきましょう。
クロス補聴器の主なデメリット
クロス補聴器には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。ここでは、おもなデメリットについてくわしく解説していきます。
両耳装用の必要性によるデメリット
クロス補聴器の特徴的なデメリットの一つが、両耳に装用する必要があることです。これにより、以下のような問題が出てくる可能性があります。
- 見た目の懸念: 両耳につけることで、外見上の違和感を感じる方もいらっしゃいます。とくに、片耳難聴なのに両耳に補聴器(クロス)をつけることに抵抗を感じる方がいます。
- 装用の手間: 毎日両耳に装着する手間がふえます。朝の忙しい時間帯に、両耳にただしく装着するのは、少し面倒に感じる方もいるかもしれません。
- 費用面: 両耳分の機器が必要なため、初期投資が大きくなる傾向があります。片耳補聴器とくらべて、どうしても高額になってしまいます。
「両耳につけるのは少し抵抗があるなぁ。」というお声をいただくこともあります。でも、最近は小型化が進んでいるので、以前より目立ちにくくなってきて軽量化が進んでいますよ。それでも、両耳装用が気になる方には、慎重に検討していただく必要があります。
バッテリー(電池)管理の負担
クロス補聴器は、両耳それぞれに電池が必要です。これにより、以下のような負担が考えられます。
- 頻繁な交換や充電: 使用頻度によっては、週に1〜2回の電池交換や毎日の充電が必要になることも。これは、日常生活の中で新たな習慣を作る必要があることを意味します。
- 予備電池の携帯: 外出時には予備の電池を持ち歩く必要があります。電池切れで突然聞こえなくなるリスクをさけるためです。
- 環境への配慮: 電池を使用する場合、環境負荷が気になる方もいらっしゃいます。頻繁な電池交換は、ゴミの増加につながる可能性があります。
「電池切れが心配で、いつも予備を持ち歩いています」というお客様の声もよく聞きます。しかし、最近は電池交換なしで使用できる充電式の補聴器もふえてきているので、少しずつそのような負担は軽減されてきています。
音質や音の自然さの課題
技術の進歩により大幅に改善されてきていますが、まだ完全ではありません。以下のような課題が残っています。
- 人工的な音質: 補聴器を通じてデジタル処理された音が、時に人工的に感じられることがあります。自然な音との違いを感じる方もおられます。
- 方向感の不完全さ: 完全な360度の音源定位は難しく、左右の音の区別が難しいことがどうしてもあります。これは、音の方向を正確に把握することが重要な状況では問題になる可能性があります。
「自然な音とは少し違う感じがする」という感想をいただくことがありますが、多くの方は使用しているうちにクロス補聴器のきこえ方になれていくので違和感なく使用することができます。ただ、音楽鑑賞など音質にこだわりがある方には、この点が気になる可能性があります。
適応には慣れることが必要
クロス補聴器の使用には、一定の適応期間が必要です。もちろん試してすぐに適応できる人もいらっしゃいます。
- 装用感への慣れ: 両耳に補聴器をつける感覚に慣れるまで時間がかかる方もいます。とくに、今まで補聴器を使用したことがない方にとっては、大きな変化になります。
- 新しい聞こえ方への適応: 今までとことなる聞こえ方にはじめはとまどうこともあるかもしれません。360度、周囲の音が聞こえるようになることで、最初は違和感を覚えることがあります。
「最初は違和感があったけど、今ではすっかり馴染んでいます」という方が多いですね。適応には当然個人差がありますが、だいたい2週間から1ヶ月くらいの期間でクロス補聴器に慣れる方が多いです。
技術的な制限
クロス補聴器にも、まだいくつかの技術的な制限があります。
- 防水性能の限界: 完全防水ではないため、水泳などの水中活動には適していません。雨や汗には対応できても、水中では使用できないことが多いです。
- Bluetooth接続の制限: クロス補聴器にはBluetooth機能がないので、スマートフォンとの連携を重視する方には不便を感じる可能性があります。しかし、聞こえる耳に着ける補聴器とペアリングすることは可能です。
そのほか、技術的な制限でいうとクロス補聴器はメーカーごとで適応する補聴器がことなります。補聴器ならどの補聴器でも一緒に使えるというわけではありませんのでご注意ください。
コスト面の負担
クロス補聴器は、一般的な補聴器とくらべてコストが高くなる傾向があります。
- 高い初期投資: 補聴器とクロス補聴器、両耳分の高性能な機器が必要なため、初期費用は高くなります。
- メンテナンス費用: クロス補聴器購入後には保証期間があるのでその間は修理費用の発生はありませんが、保証期間をすぎると当然ですが修理に費用がかかります。
「効果は実感できるけど、価格が少し高いかな」という声もあります。しかし、長期的に見ると生活の質の向上につながる投資と考える方も多いですね。クロス補聴器にそれだけの費用を支払う価値があるかというところを確認する必要がありますね。
クロス補聴器のデメリットへの対策
クロス補聴器にはデメリットがありますが、それぞれ対策をすることで、より快適に使用することができます。ここでは、各デメリットに対する具体的な対策についてご紹介します。
両耳装用の必要性への対策
- 小型・目立たないデザインの選択: 最新の製品は非常にコンパクトで目立ちにくいものが多いです。外見を気にされる方は、できるだけ小さな製品を選ぶことをおすすめします。
- 装用の習慣化: 毎日の装用を習慣化することで、手間を感じにくくなります。朝の準備の一部として組み込むなど、日課の一部にすることをおすすめします。
バッテリー管理の負担への対策
- 充電式タイプの選択: 最近は充電式のクロス補聴器が主流です。これにより、バッテリー交換の手間を大幅にへらすことができます。
- バッテリー管理アプリの活用: スマートフォンと連携可能な製品であれば、バッテリー残量を簡単に確認できるアプリを利用できる場合があります。
- 予備バッテリーの常備: 外出時は必ず予備のバッテリーを持ち歩くようにしましょう。小さなケースに入れて携帯すれば、かさばることもありません。
音質や音の自然さの課題への対策
- 最新モデルの選択: 技術の進歩により、音質は年々向上しています。可能であれば、最新モデルを選ぶことで、より自然な音質を得られる可能性があります。
- 個別調整の活用: 多くのクロス補聴器は、個人の聴力や好みに合わせて細かく調整することができます。専門家と相談しながら、最適な設定を見つけていきましょう。
- 適応期間の確保: 新しい音の聞こえ方に慣れるには時間がかかります。最低でも1ヶ月程度は継続して使用し、徐々に慣れていくことが大切です。
適応時間への対策
- 段階的な使用: 最初は短時間から始めて、徐々に使用時間を延ばしていくことをおすすめします。例えば、最初の1週間は1日2時間、次の週は4時間というように徐々に増やしていきます。
- 多様な環境での練習: 自宅や静かな環境から始めて、徐々に外出先や騒がしい環境でも使用してみましょう。様々な音環境に慣れることで、適応が早まります。
- 専門家との定期的な相談: 適応期間中は、定期的に専門家と相談し、進捗状況を確認しながら調整を行うことが重要です。
技術的な制限への対策
- 防水ケースの利用: 完全防水ではなくても、防水ケースを使用することで、水回りでの作業時も安心して使用できます。
- Bluetooth対応製品の選択: スマートフォンとの連携を重視する方は、Bluetooth対応のクロス補聴器を選ぶことをおすすめします。
コスト面での負担への対策
- 定期的なメンテナンス: 高額な投資だからこそ、定期的なメンテナンスをおこない、長く使用することが大切です。これにより、長期的にはコストを抑えることができます。
- 保証期間の確認: 製品の保証期間をしっかり確認し、できるだけ長期の保証がついている製品を選ぶことをおすすめします。
クロス補聴器の選び方
クロス補聴器のデメリットを理解した上で、自分に合った製品を選ぶことが重要です。ここでは、クロス補聴器の選び方についてアドバイスさせていただきます。
専門家との相談
まずは、補聴器専門店や耳鼻咽喉科で相談することをおすすめします。まずは耳の状態を知るためにも耳鼻科を受診するようにしましょう。
- 聴力検査: 正確な聴力状態を把握することが重要です。これにより、本当にクロス補聴器が適しているかどうかを判断できます。
- 生活スタイルの確認: 日常生活での聞こえのニーズを専門家と共有しましょう。仕事環境や趣味活動など、具体的な生活シーンを伝えることで、より適切なアドバイスを得られます。
- 試聴体験: 実際に装用してみることで、効果や装用感を確認できます。できるだけ長時間、様々な環境で試聴することをおすすめします。
「専門家と相談して、自分に合った補聴器が見つかりました」というお客様の声をよく聞きます。プロの意見を聞くことで、より適切な選択ができるんですね。
機能と性能のチェック
クロス補聴器にも様々な機能や性能の違いがあります。
- 音質調整: ノイズリダクションや音声強調機能の性能を確認しましょう。とくに、よく過ごす環境(例:オフィス、屋外など)での性能を重視すると良いでしょう。
- 防水・防塵性能: 日常生活での耐久性を考慮して選びましょう。IPX規格などの防水・防塵性能の指標を確認することをおすすめします。
- バッテリー持続時間: 充電式か電池式か、使用時間はどのくらいかをチェックします。自分の生活リズムに合わせて選ぶことが大切です。
- Bluetooth機能: スマートフォンとの連携が必要な場合は確認が必要です。音楽や通話を楽しみたい方には特に重要な機能です。
「音質がクリアで、スマホとも連携できる機種に決めました」という方も多いですね。自分のライフスタイルに合わせて機能を選ぶことが大切です。
デザインと装用感
見た目や装用感も重要な選択基準です。
- サイズと形状: 耳の大きさや形に合ったものを選びましょう。特に、長時間の装用を考えている方は、装用感を重視することをおすすめします。
- カラーバリエーション: 肌の色や髪の色に合わせて選べる機種もあります。目立たないようにしたい方は、自分の肌や髪の色に近いものを選ぶと良いでしょう。
- 重量: 軽いものほど長時間の装用が楽になります。特に、活動的な方や長時間の装用を考えている方は、軽量モデルを選ぶことをおすすめします。
「目立たないデザインで、つけていることを忘れるくらい快適です」というお声をいただくことも多いんですよ。
当店の人気おすすめのクロス補聴器
当店で取り扱うおすすめのクロス補聴器を紹介します。各メーカーでリリースも増えてきていますので好みのメーカーで選びやすくなっていますよ。
耳かけ型補聴器 フォナック オーデオ ルミティ R クロス【Phonak Audeo L-R CROS】
フォナックオーデオルミティクロスはルミティシリーズ対応のクロス補聴器です。自然でクリアな音質が魅力的なルミティシリーズなので、クロス補聴器でのきこえも違和感なく、自然にききとりをサポートします。バッテリーのもちが少し短いですが、快適性の高い音質で人気のクロス補聴器です。
耳かけ型補聴器 スターキー RIC RT クロス【Starkey RIC RT CROS】
スターキーのジェネシスシリーズ対応のクロス補聴器です。AI対応の補聴器と組み合わせることで、より複雑な環境下でもききとりをおぎなってくれるでしょう。他メーカーと比べてバッテリーが一番強力なのもスターキーのポイントのひとつです。
耳かけ型補聴器 オーティコン クロス PX【Oticon CROS PX】
オーティコンクロスPXは、他メーカーと比べて対応できるシリーズが多いのが特徴のひとつです。そのため、予算にあわせて選べる補聴器の選択肢がふえるのがうれしいですね。長持ちするバッテリーもオーティコンのクロスが支持される理由のひとつです。
耳かけ型補聴器 リサウンド ネクシア クロス【Resound Nexia CROS】
リサウンド ネクシア クロスはネクシアシリーズに対応するクロス補聴器です。ネクシアシリーズの機能性を活用した聞きとりできこえをおぎなってくれます。充電式なので使い勝手もいいですね。
耳かけ型補聴器 シグニア ピュア C&G IX クロス 【Signia IX CROS】
シグニア ピュア C&G IX クロスはIXシリーズに対応のクロス補聴器です。小さいサイズで違和感なく使用しやすいモデルです。シグニアIXの機能性、音質により会話のききとりをスムーズにおぎなってくれます。独自のセンサー機能により、会話により集中しやすくしてくれるのでさまざまな環境で使う人にも使いやすいクロス補聴器です。
クロス補聴器の使用上の注意点
クロス補聴器を快適に使用するためには、いくつかの注意点があります。ここでは、日常生活での使用上の注意点をご紹介しますね。
装用と取り扱い
正しい装用方法と丁寧な取り扱いが大切です。
- 清潔な手で取り扱う: 汚れた手でさわると、故障の原因になることがあります。必ず手を洗ってから装着・取り外しを行いましょう。
- 就寝時は外す: 寝ている間の装用は避けましょう。就寝中の装用は、耳の通気を妨げたり、機器を損傷したりする可能性があります。
- 水濡れに注意: シャワーや入浴時は必ず外しましょう。防水性能があっても、長時間の水没は避けるべきです。
「毎日の手入れが習慣になりました」というお客様も多いですよ。丁寧に扱うことで、長く快適に使用できます。
定期的なメンテナンス
日頃の自分でできるメンテナンスにくわえ、補聴器専門店によるメンテナンスも重要です
- 定期チェック: 半年に1回程度、補聴器専門店でのチェックをおすすめします。プロの目でこまかいトラブルを早期に発見できます。
- クリーニング: 専用の道具を使った定期的なクリーニングが必要です。特に、耳垢や汗による汚れは定期的に除去することが大切です。
- 調整: 聴力の変化に合わせて、適宜調整をおこないましょう。定期的な聴力検査と調整により、常に最適な状態を保つことができます。
「定期的なメンテナンスで、いつも最適な状態をたもてています」という声をよく聞きます。プロのケアをうけることで、長く快適に使用できるんですね。
まとめ:クロス補聴器の可能性と注意点
ここまで、クロス補聴器のデメリットを中心に、その特徴や使用上の注意点などについてお話ししてきました。確かに、両耳装用の必要性やコスト面での負担など、考慮すべき点はあります。しかし、適切に選択し、上手に使用することで、これらのデメリットは大幅に軽減できる可能性があります。
クロス補聴器は、片耳難聴の方にとって、新しい聞こえの世界を開く可能性を秘めています。360度の音環境を体験できることやコミュニケーションの質の向上など、えられるメリットは非常に大きいものがあります。
「クロス補聴器を使い始めてから、世界が変わりました」
「もっと早く使えばよかった」
こんな声をお客様からいただくと、本当に嬉しくなりますね。
クロス補聴器は、単なる聞こえの改善だけやなく、生活の質全体を向上させる可能性を秘めています。もし片耳難聴でお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、クロス補聴器について専門家に相談してみてください。デメリットを理解した上で、自分に合った製品を選ぶことで、より快適な聞こえの世界を体験できるかもしれません。
新しい聞こえの世界が、あなたの日常をより豊かなものにするかもしれません。私たちリスニングラボのスタッフも、皆さまの聞こえの旅に寄り添い、サポートさせていただきます。
聞こえの改善は、人生の質の向上につながります。クロス補聴器が、そんな素敵な変化のきっかけになることを願っています。