※詳しくは「全国補聴器専門店認定協会」のホームページをご覧下さい。
補聴器-形による分類
耳あな形補聴器
耳現在、一番普及しているのが耳あな型です。1997年までは耳かけ型が一番多く使用されていましたが、1999年に逆転し耳あな型がすっかり定着しました。耳の中に収まるタイプで、目立たないのが特徴です。
すっぽりと耳の中に入って外から見えにくい小型のものや、耳の入口までくるやや大きめのものまであり、耳の形状ときこえの程度にあわせて作るオーダーメイドタイプが一般的です。耳の奥深くまで収める小さいタイプでも、 人によっては大きめになることもあります。
また、小さい補聴器ほど、調整つまみや電池も小さくなります。目がご不自由な方や、指で小さなつまみを扱いにくい方は大きめな補聴器をお勧めします。
人気のあるタイプはオーダーメイドタイプの耳あな形補聴器ですが、「きこえ」の程度によっては、お使いいただけない場合もあります。
~特徴~
- 補聴器が耳の中に入り、その先端にレシーバーがあるので、音の出口から鼓膜への距離が補聴器の中で最も近い。従って、音の伝わりの効率が良く、良く聞える。
- 耳介の効果(集音・方向感・共振)を最大に生かせる。
- 電気音響的特性が他の器種に比べ、最も自然な音。
- オーダーの場合は自分の耳の型を採って作るのでつけていて違和感がない。主に軽中度の難聴向き。
- 小さくて目立たないので、現役で仕事をしている人、若い人、女性などにはよい。
- 電池代が高くつく。
耳あな形補聴器の種類
耳あな形補聴器は難聴の度合いによっても補聴器の大きさがかわります。高度難聴の方には耳にすっぽりと収まるフルサイズ、中高度から軽度の方には小さくて目立ちにくいカナル、中度から軽度難聴の方には周囲からほとんど付けているのがわからないCIC(マイクロタイプ)があります。
耳かけ形補聴器
耳の後ろに本体をかけチューブでつながった耳栓を耳の中に入れて音を聞くタイプ。比較的取り扱いやすく、種類が豊富で性能によって選るので、根強い人気があり、軽度難聴から重度な難聴まで、あらゆる難聴の度合いに対応できます。
最近では重度難聴者に対応するパワー型や耳穴型よりも目立ちにくい小型な商品も開発されています。また、肌や髪の色に合わせていくつかの色の中から補聴器の色を選べ、カラフルな色を取り揃えている場合もあります。一人ひとりの耳の形に合わせたイヤモールド(オーダー耳栓)を使用することで、ハウリング(ピーピー音)がおこりにくくできます。
~特徴~
・ポケット形よりはずいぶん小型だが、耳穴形よりは目立つ。
・器種が豊富なので、広範囲の中から器種選択が可能で重度難聴に対応するタイプもある。
現在、耳かけ型は、最も器種の選択幅が広く、出力・利得・周波数レスポンスなどの基本性能や、調整器、価格等の面で、既成の補聴器の中では代表的な補聴器。
箱型に匹敵する高出力・高利得、幅広い音質選択が可能。また、調整幅も広く、その場での対応性に優れている。
- 中耳炎の手術などで耳あな形ができない人や耳漏のある人などにはよい。
- 耳栓をしっかり合わせないとピーピーと音漏れ(ハウリング)がする。
- マイクが耳の後ろにあるので電話をかけるのにコツが必要。
- 耳にかけて使用するので汗が入りやすい。
- 電池代が多少高くつく。
→Q&Aイヤモールド
→Q&Aハウリング
クロス(CROS) 補聴器
クロス補聴器はクロス補聴システムで一側性難聴へのソリューションです。聞こえない耳側に「フォナック(PHONAK)クロス(CROS)送信機」を、聞こえる側にフォナック補聴器を装用することで、送信機のマイクロホンが周りの音声をキャッチして、聞こえる耳側の補聴器まで届けてくれます。
※電波を使用する製品のため、心臓ペースメーカーをお使いの場合はご購入の前に必ず専門医にご相談ください。
バイクロス補聴器
バイクロス補聴器は上記で述べたクロス補聴器の構造から聞こえている側の耳に軽度もしくは中度の難聴がある場合に対応します。聞こえている側も軽中度難聴があれば補聴器で難聴を補い、聞こえていない側の耳は聞こえている側へクロス補聴で送信する調整のことです。
※電波を使用する製品のため、心臓ペースメーカーをお使いの場合はご購入の前に必ず専門医にご相談ください。
ポケット形補聴器
補聴器本体をポケット内に収めて、あるいは首からさげてイヤホンをコードでつなぐタイプ。操作が比較的簡単で、機種によっては高出力も得られ、大きな音量が出せるので軽度の難聴から重度の難聴まで幅広くお使いいただけます。 デジタル型はありません。
~特徴~
- 比較的大型なので目立つが、操作はスイッチ、ボリュームを見ながら手元で操作できるので簡単。
- 高出力が得られ、大きな音で聞くことが出来る。
- ピーピー音(ハウリング)がしにくい。
- 乾電池を使うため電池代が安くつく。
- 聞きたい音の方向にマイクを向ければ音を拾いやすい。
- ポケットなどに入れて使うので衣擦れの音が入ってしまう。
- イヤホンコードを使用するので邪魔になることがある
- 行動的な人、若い人には向かない。家の中で過ごすことの多い人や入院中、寝たきりの人、テレビや会議の時のみ使う人などにはよい。
- 中耳炎などの手術で耳あな形が出来ない人や耳漏のある人には適している。
メガネ形補聴器
メガネと補聴器が一体化したタイプ。メガネのつるの部分に補聴器が内蔵されていて、耳の後の骨を振動させ直接聴神経に音を伝える補聴器です。中耳炎などで難聴になり骨導聴力の残っている方におすすめです。メガネと併用できる利点はありますが、レンズと補聴器の両方を調整する必要があります。カチューシャタイプのものもあります。操作は比較的簡単です。
~特徴~
・骨導聴力が軽度~軽中度の方に対応します。中耳炎等で難聴になった人むき。
・メガネもしくはカチューシャを装着する必要があるので本体が重く、耳の後を押さえるので頭に少し負担がかかる。
・メガネの形が変わったりすると耳の骨に震動が伝わらず聞こえにくくなるので、メガネの調整が必要になる。
汗による故障が多い。
特殊補聴器
以上4種類のほかに、離れた場所に設置したFM送信機から手元の補聴器に音を送る、騒音に強いタイプや、高音域の子音を聴き取りやすいよう周波数を圧縮するものなど、特殊な用途で使う補聴器もあります。
調整の仕方による分類
補聴器の調整は大きく分けてドライバーで調整する【アナログタイプ】とコンピューターを使用して調整を行なう【プログラマブルタイプ】に分けられます。
アナログタイプにはアナログ補聴器、プログラマタイプにはプログラマブル補聴器とデジタル補聴器があります。
アナログタイプの補聴器
音質の調整は、基本的に低音・高音の2つのパートに分けてドライバーで調整するので、調整の幅はかなり限られてきます。聴力の度合い、聴力型によってそれぞれ適合する補聴器の機種が異なるので、その時の聞こえに合ったものを選択します。聴力が変わり、使用している機種が合わなくなれば買い替えの必要があります。アナログタイプはアナログ補聴器とも呼ばれています。
プログラマブルタイプの補聴器
一般的にセミデジタルのものを「プログラマブル補聴器」といい、フルデジタルのものを「デジタル補聴器」といいます。軽度から一部高度の難聴まで1つの補聴器で合わせることができるの、聴力が途中で変わっても設定を入力し直すだけで買い替えの必要がありません。
音質の調整は低音・高音に加え、中音域の調整も可能なので、補聴器を使う人の聞こえに最適な状態に合わせることが可能です。従来のアナログタイプのものとは音質と調整の幅に格段の差があります。人はそれぞれ聞こえの好みが違います。強めの音が好きな人もいれば、ソフトな音が好みの人もいます。まったく同じ聴力の人であっても同じ調整になるとは限らないのです。自分好みの音に合わせられる幅があることが、プログラマブル補聴器やデジタル補聴器の最大の特徴といえるでしょう。
長期に渡ってアナログ補聴器を使用していて、アナログの音に慣れている人の場合は、プログラマブルタイプの自然に近い音では物足りないということもよくあることです。
【特徴】
- 耳の奥まで入るので鼓膜の近いところで音を出すことが出来て音質が良い。
- 耳かけ形は汗での故障が多いが、耳あな形は汗での故障が少ない。
- 耳の中にすっぽりと収まるため、耳介の音を集める効果や方向感を生かすことが出来る。
【短所】
- 過去に耳の手術をされている方、中耳炎や耳漏の多い方にはあまりおすすめ出来ません。
- 耳かけ形に比べ音漏れ(ハウリング)がしやすいですが、最近のデジタル補聴器は音漏れを防止する機能が付いています。
- 重度難聴には対応していません。重度難聴者には耳かけ形もしくはポケット形をおすすめします。
※耳あな形にも既製品がありますが、オーダーメイドではありませんのでお気をつけください。
【特徴】
- 価格が安い。
- 既製品のため、通信販売が多くあまり専門店では販売していない。
- ボリューム調整のみで音質調整など細かい調整があまり出来ないタイプが多い。
- 既製品なので耳の穴が合わなければ音漏れが多くなり、補聴器装用の効果があまりない。
デジタル補聴器
デジタル補聴器は、入ってきた音をさまざまに処理・加工できますので、アナログの補聴器に比べて、よりよい聞こえを実現するための多彩な機能をさらにプラスしていくことができます。デジタル補聴器はこれからも進化し続けるでしょう。
≪その他補聴器について≫
→Q&A耳かけ形、ポケット形補聴器
→Q&Aピーピー音(ハウリング)
→Q&Aオーダーメイドの補聴器