補聴器を上手に使いこなすためのコツ
補聴器を使いこなすためにはまず取り扱いに慣れることが大事です。その上で、今まで聞こえていなかった周囲の声や音が急に聞こえてくるようになりますのでそれに慣れ、補聴器を通して聞こえてくる自分の声にも慣れていく必要があります。あせらず、根気よく、一つひとつ慣れていきましょう。
どうしても止まらなかったら販売店にご相談ください。調整で直る場合もあります。補聴器と耳の形が合っていなかったら、耳かけ形なら耳せんを換えるか、イヤモールドを作りましょう。耳あな形なら耳の型を取り直してもらいましょう。
→Q&Aイヤモールド
また、テレビの音量を上げなくてもテレビの音声が耳元ではっきり聞こえる赤外線コードレスの耳元スピーカーが発売されています。補聴器との併用でさらに聞き取りやすくなるので、テレビの音量を上げずにご家族一緒に楽しんでいただけます。
→Q&A両耳装用
→赤外線コードレス耳元スピーカー【みみもとくんα】
→Q&Aハウリング(ピーピー音)
話し手の近くに席をとったり、相手の口を見ながら話を聞くようにしたりと工夫をしてみてください。その上で、ご自身の「補聴器を使おうとする意思」が何よりも大切になります。
どうしても慣れることができないときは、購入店の専門スタッフにご相談されるとよいでしょう。認定補聴器専門店【関西きこえ補聴器】では、「補聴器を使いこなしていただくための3週間プログラム」をご用意して、トレーニングのサポートをさせていただきます。
1.まず、音に意識を集中してください。
自分が聞きたいと思う音に意識を集中して補聴器に耳を慣らすようにしましょう。静かなところで、時計の音などの単調な音から始めましょう。初めから騒がしい場所で使ったのでは、騒がしいことだけが気になってしまいます。
2.ゆっくり、はっきり話してもらいましょう。
特に訓練のときは、よい話し相手を選ぶようにしてください。早口な人、不明瞭に話す人は避けて、ゆっくり、はっきり、語尾などを濁さないように話す人がよいでしょう。慣れてきたらいろいろな音を聞き分けられるようになります。
また、補聴器を使用して音は聞こえても言葉の意味がよく理解できない人が多くいます。この場合は静かな部屋で補聴器を使用して新聞や本などを声を出して読み、自分の声が補聴器を通してどのように聞こえるのか確認してみるのもよい練習方法の一つです。
3.呼びかけてから内容を話してもらいましょう。
補聴器を使い始めて1週間~10日間位は周囲の人にまず呼びかけてもらって、それから内容を話してもらうようにしましょう。例えば「食事はまだですか?」と聞くときも「お母さん、(一息入れて)食事はまだですか?」と話しかけてもらいます。こうすることで注意が引かれ、その後の会話に集中しやすくなります。
4.初めから長時間の使用は避けましょう。
最初から補聴器を長時間使うとイライラしたり、疲れも大きいものです。徐々に使用する時間を延ばすようにして、疲れたらスイッチを切って休みましょう。デリケートな内耳の神経を疲れさせないように、神経過敏や緊張を少なくすることが大切です。初めはのんびりと時間をかけて補聴器に慣れるようにしてください。
5.ボリュームは上げすぎないように気をつけましょう。
音が大きすぎると音声に歪みが起き、かえって聞きづらくなります。会話は2m前後の距離でちょうどよい程度にボリュームを調整し、聞きやすい、話しやすい相手を決めてお話に慣れるようにしてください。
6.相手の方と向かい合って話をしてください。
話し相手とは必ず相対して会話してください。ゆっくり、はっきり話してもらい、遠くの声や、低いソフトな声は慣れるまで避けるようにしてください。話し相手の人には横を向いて話したり、口や顔を手で覆わないようにしてもらいましょう。
7.いろいろな音を聞いてください。
次第にいろいろな種類の音に耳を傾けて慣れるようにしていきます。だんだん練れてきたら4~5人のグループの会話を聞き、どの人が話をしているのか注意して、自分も会話の中に参加するようにします。
認定補聴器専門店【関西きこえ補聴器】では、「補聴器を使いこなしていただくための3週間プログラム」をご用意して、トレーニングのサポートをさせていただきます。
ご家族の方にお願いしたいこと
補聴器をつけたからといって聞こえに困らない人々と同じになるわけではありません。すぐに補聴器に慣れる人はまれで、いろいろな訓練が必要なのです。この訓練に本人が努力するのはもちろんですが、いちばん身近なご家族の皆さまに協力していただくのが何よりも大切なことです。
1.話し方
まず、話をする前に呼びかけて、注意をひいてください。そして必ず顔をみて話をしてください。普通の声でゆっくり、はっきり話してください。補聴器を使用しているときに大きな声で話すとかえって聞きづらくなります。相手が理解していないとわかった時は、単に同じ言葉を繰り返すだけでなく、違った表現方法を使って話してください。
2.騒音を減らしましょう
補聴器を使用すると今まで聞こえなかった周囲の音が聞こえるようになり、その中には聞きたくない音が騒音として聞こえてくる場合があります。聞こえに困らない人にとっては何でもない音が邪魔になりやすいのです。家庭内でも会話をするときはテレビやラジオ等の音はなるべく小さくするように心がけてあげてください。
3.補聴器の使用を強制しないようにしましょう
補聴器を購入したのだから早く使いこなしてほしいと願うのは当然ですが、特にご高齢になると新しいことに慣れるのに時間がかかりますので、周囲の方も強制せずにやさしく見守ってあげることが大切です。
ご家族の皆さま方の言葉しだいで、補聴器を使っている人をがっかりさせたり、勇気づけたりします。ご家族の皆さま方のご協力と温かい励ましをお願いいたします。